公的介護保険について
公的介護保険とは?
保険者
介護保険の実施主体(保険者)は、市町村及び特別区(23区)です。
加入者(被保険者)
40歳以上の方が加入します。加入者は2つに分かれます。
(1)第1号被保険者:65歳以上の方
(2)第2号被保険者:40~64歳で、医療保険に加入している方
サービスを利用できる方
(1)第1号被保険者
寝たきりや認知症(痴ほう)などで常に介護が必要な状態(要介護状態)の方、または家事や身じたくなど日常生活に支援が必要な状態(要支援状態)の方
(2)第2号被保険者
下の表、特定疾病が原因で、要介護状態や要支援状態である方
※40歳から64歳までの方は交通事故で介護状態になってしまっても補償はありません。
【特定疾病】
1.筋萎縮性側索硬化症
2.後縦靱帯骨化症
3.骨折を伴う骨粗鬆症
4.シャイ・ドレーガー症候群
5.初老期における認知症(アルツハイマー等)
6.脊髄小脳変性症
7.脊柱管狭窄症
8.早老症[ウェルナー症候群]
9.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
10.脳血管疾患
11.パーキンソン病
12.閉塞性動脈硬化症
13.慢性関節リウマチ
14.慢性閉塞性肺疾患
15.両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形症関節症
申請から利用までの流れ
①認定申請
②訪問調査
③審査・判定
④認定の通知
⑤ケアプランの作成
⑥サービスの開始
要介護度別の身体状態のめやす
要介護度
要介護認定等
基準時間
身体の状態(例)
要支援-1
25分以上
32分未満
要介護状態とは認められないが、社会的支援を必要とする状態
食事は排泄などはほとんどひとりでできるが、立ち上がりや片足での立位保持などの動作に何らかの支えを必要とすることがある。入浴や掃除など、日常生活の一部に見守りや手助けが必要な場合がある。
要支援-2
要介護-1
32分以上
50分未満
生活の一部について部分的に介護を必要とする状態
食事や排泄はほとんどひとりでできるが、時々介助が必要な場合がある。立ち上がりや歩行などに不安定さが見られることが多い。問題行動や理解の低下が見られることがある。
この状態に該当する人のうち、適切な介護予防サービスの利用により、状態の維持や、改善が見込まれる人については要支援2と認定される。
要介護-2
50分以上
70分未満
軽度の介護を必要とする状態
食事や排泄に何らかの介助を必要とすることがある。立ち上がりや片足での立位保持、歩行などに何らかの支えが必要。洋服の着脱は何とかできる。物忘れや直前の行動の理解の一部に低下がみられる。
要介護-3
70分以上
90分未満
中程度の介護を必要とする状態
食事や排泄に一部介助が必要。立ち上がりや片足での立位保持などがひとりでできない。入浴や洋服の着脱などに全面的な介助が必要。いくつかの問題行動や理解の低下がみられる。
要介護-4
90分以上
110分未満
重度の介護を必要とする状態
食事にときどき介助が必要で、排泄、入浴、衣服の着脱には全面的な介助が必要。立ち上がりや両足での立位保持がひとりではほとんどできない。多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある。
要介護-5
110分以上
最重度の介護を必要とする状態
食事や排泄がひとりでできないなど、日常生活を遂行する能力は著しく低下している。歩行や両足での立位保持はほとんどできない。意思の伝達がほとんどできない場合が多い。
実際に介護サービスが提供される時間ではありません。
在宅サービスの支給限度額と利用のめやす
要介護度
支給限度額
(1ヵ月あたり)
利用できる在宅サービスのめやす
要支援-1
49,700円
◎週1回の介護予防訪問介護(ホームヘルプサービス)
◎介護予防通所介護
または通所リハビリテーション(介護予防通所系サービス)
◎月2回の施設への短期入所
要支援-2
104,000円
◎週2回の介護予防訪問介護
◎介護予防通所系サービス
◎月2回の施設への短期入所
◎福祉用具貸与(歩行補助つえ)
要介護-1
165,800円
◎週3回の訪問介護
◎週1回の訪問看護
◎週2回の通所系サービス
◎3ヵ月に1週間程度の短期入所
◎福祉用具貸与(歩行補助つえ)
要介護-2
194,800円
◎週3回の訪問介護
◎週1回の訪問看護
◎週3回の通所系サービス
◎3ヵ月に1週間程度の短期入所
◎福祉用具貸与(認知症老人徘徊感知機器)
要介護-3
267,500円
◎週2回の訪問介護
◎週1回の訪問看護
◎週3回の通所系サービス
◎毎日1回、夜間の巡回型訪問介護
◎2ヵ月に1週間程度の短期入所
◎福祉用具貸与(車イス、特殊寝台)
要介護-4
306,000円
◎週6回の訪問介護
◎週2回の訪問看護
◎週1回の通所系サービス
◎毎日1回、夜間の巡回型訪問介護
◎2ヵ月に1週間程度の短期入所
◎福祉用具貸与(車イス、特殊寝台)
要介護-5
358,300円
◎週5回の訪問介護
◎週2回の訪問看護
◎週1回の通所系サービス
◎毎日2回、早朝・夜間の巡回型訪問介護
◎1ヵ月に1週間程度の短期入所
◎福祉用具貸与(特殊寝台、エアーマットなど)
また、施設における食費や居住費は公的介護保険の給付の対象にはなりません。
Q&A
Q.59歳の夫が転んで寝たきりになってしまいました。公的介護保険の対象になりますか?
A.なりません。
公的介護保険の給付は、65歳以上の方(第1号被保険者)は、その原因にかかわらず、要介護状態にあるか、要介護状態になる恐れのある状態にあれば対象になります。しかしながら、40~64歳の方(第2号被保険者)については、要介護状態になった原因が初老期認知症(痴呆)や脳血管障害など、加齢に伴って生じる15種類の特定疾病である場合に限られます。
Q.サービスを利用した場合、自己負担額はいくらになりますか?
A.原則として1割を自己負担します。
ただし、施設に入所した場合はこの他に食費の一部負担や日常生活費等が必要になります。
Q.介護のできる家族がいますが、介護保険のサービスを受けることはできますか?
A.できます。
公的介護保険は、これまで家族の努力によりなされていた介護を、社会全体で支えることを一番の目的にしています。したがって、公的介護保険では、介護のできる家族が同居していても、サービスを受けることはできます。
Q.67才の祖父が脳卒中で倒れて病院に運ばれました。この場合は、介護保険の対象になるのですか、それとも医療保険の対象になるのですか?
A.病気やケガを治すためには医療保険を使います。
介護保険の対象になるのは一般の病院から退院した後、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設など、介護が目的の施設や病院に入ってからです。また、自宅に戻ることができて訪問介護や訪問看護、通所リハビリなど、様々な居宅(在宅)サービスを受ける場合も公的介護保険が適用されます。ただし、施設で入所生活をしていても、医療行為が必要になった場合は、原則としてその部分だけが医療保険の対象となります。
Q.介護保険料は、確定申告の時に保険料控除の対象になりますか?
A.なります。
介護保険料は、健康保険料などと同様に社会保険料控除の対象です。年末調整、確定申告の際に社会保険料として申告することができます。また、普通徴収により納付している配偶者等の介護保険料を支払っている場合も控除することができます。
Q.要介護認定を受けましたが、実際にはどのような介護保険サービスを受けられますか?
A.介護保険では在宅サービスについては、要支援・要介護度ごとに、[表]のように1ヶ月のサービス利用限度が設定されています。
この範囲内でサービスを利用した場合に、サービス費用の1割を支払い、 残りの9割が介護保険でカバーされます。この利用限度額を超えてサービスを利用(上乗せサービス)したり、給付対象以外のサービスを利用する(横出しサービス)場合には、利用限度額を超える部分や給付対象以外のサービス部分については全額自己負担になります。 サービス利用の一例を示しますので参考にして下さい。
要支援
要介護-1
要介護-2
要介護-3
要介護-4
要介護-5
訪問・通所サービス
61,500円
165,800円
194,800円
267,500円
306,000円
358,300円
福祉用具購入費の支給
1年間で10万円
(4月1日~3月31日)
在宅改修費の支給
1世帯につき20万円
居宅療養管理指導
訪問回数の上限有り